2020/05/13
オススメの本その15『図書室の海/恩田陸 著』【CAD 派遣 求人 アルファコーポレーション・ALNET】
ファンに嬉しい短編集
こんにちは。今回も前回に引き続き、恩田陸さんの小説を紹介しようと思います。
◆『図書室の海』/恩田陸
全10編の短編集。表題の『図書室の海』は『六番目の小夜子』
という恩田陸さんの長編小説の番外編です。
その他長編小説『夜のピクニック』の前日譚なども収録されています。
番外編は長編小説を読んでいるほうが楽しめると思うので、
興味があればそちらもぜひ読んで頂きたいのですが、
今回は私が特に印象に残った短編小説を紹介します。
・『国境の南』
久しぶりに大学生時代に通っていた喫茶店があった場所にやってきた主人公。
昔とある「事件」が起こり、売りに出されてしまった馴染みの喫茶店は、
何度か店の種類を変えたのちに、現在はまた新しく別の喫茶店に変わっていました。
主人公はかつて喫茶店で働いていた女性、望月加代子のことを思い出します。
化粧っけがない美人で、てきぱきとしていて、愛情をもって接客していた女性。
客からも親しまれていた筈の彼女は長年、水差しに砒素を溶かし込んでいたのでした…。
Free-PhotosによるPixabayからの画像
ジャンルとしてはホラー短編で、あとがきで恩田陸さんは
ドキュメンタリー・ホラーのつもりと語られています。
主人公の過去の回想と、事件を起こした女性に対する想像が淡々と語られるのですが、
日常の中の身近な場所に潜む恐怖や狂気が感じられるお話だなと思いました。
電子書籍でも販売されていますので、ステイホーム週間中のお供にいかがでしょうか?
*アイキャッチ画像は下記からお借りしました。
Engin AkyurtによるPixabayからの画像