
夏休みの読書感想文で電子書籍デビューしてしばらく経ちました。
手軽だし今後ヘビーユーザーになるかも、と思ったものの、
自分との意外な相性の悪さを発見し、そこまで活用されていません。
その相性の悪さはどこから来るかと言うと、
「読む本を決めないで本を探す癖」ですね。
目的の本があって本屋に行くってことがあまりないのです。
ふらっと寄ってフィーリングで本を決めるタイプなので、
本屋の目立たない棚にある、けど興味をそそられる、そんな本を探す方法が分からず。
電子書籍って蔵書数が桁違いな分、
せめて読みたいジャンルを決めないと絞り込むのが難しいなと感じます。
話は逸れましたが、本日のおすすめの本はこちら。
『十角館の殺人/綾辻行人』(1987)
オススメの本48で参考にしたレビュアー
(占星術殺人事件をオススメしていた方)が
ミステリで一番面白い作品として挙げていたので気になってしまいまして。
◆あらすじ◆
大学のミステリ研究会に所属する7人の男女は、
半年前に館の主夫妻とその使用人が不審な死を遂げた孤島「角島」に来ていた。
今や無人島となったそこには、
「十角館」と呼ばれるすべてが正十角形に設計された館と、
暮らしていた4人が謎の死を遂げた「青屋敷」跡があるのみ。
7人は十角館を拠点として一週間の合宿を行う予定だったが、
閉ざされたこの島で、一人が死体となって発見される。
一方、本土では元ミステリ研究会員の江南の元に不審な手紙が届いていた。
「中村千織は殺されたのだ」
そう書かれた手紙は、島にいるメンバーと、島にはいかなかった守須、
そして千織の父であり十角館の主でもあった中村青司の弟紅次郎の元にも届いており、
好奇心に駆られた江南と、紅次郎の友人の島田は、送り主の意図の解明に乗り出す。
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綾辻行人の作品は「暗黒館の殺人」を読んだことがあり、
読者としてエンジンがかかるまでかなり時間がかかる作品、
といった印象だったんですが、
本作は序盤から舞台や人物の関係性など描写がわかりやすく、
「次はこうかな?ああかな?」と思考がキュルキュルと回るのを感じられました。
伏線を拾って、この後に有り得そうな展開を想像したり、
第一の被害者はこの人かなぁなどと予想したり、
古典的な題材だからこその楽しみ方ってありますよね。
一番好きな登場人物が死なないといいなぁと思いながら読み進めていましたが、
さて、その人物は生き残ったのか。はたまた犯人だったのか。
一人ずつ減っていく都合上犯人を絞り込むのは比較的容易いですが、
一筋縄ではいかないのがこの作品の面白いところ。
個人的には非常に悔しかったんですよ。95%当たっていて5%間違えた感じで。
余談ですが、
この話の中に登場するミステリ研究会のメンバーは
全員が有名な推理小説家の名前で呼び合っており、
それぞれの作家の作品の性格を知っていたら、
もっと物語の理解に深みが出たのかなと思っていますがどうなのでしょうか。
博識な方にそこのところを聞いてみたいですね。