本を買おうと思ったら、なぜか下巻だけしかありませんでした。
上下巻セットのものってまとめて買いたくなるタイプですが、
世の中そうじゃない人もいるもんだ。
(ちなみに上下巻同時発売の本です)
仕方ないので別の本屋で上巻を買いました。
こうして片割れのいない上下巻の本が誕生してしまうのですね…笑
そんな余談は置いといて。
今回は数学的アプローチでミステリを紐解いた異色作をご紹介。
『第八の探偵/アレックス・パヴェージ』(2020)
■あらすじ■
殺人小説「ホワイトの殺人事件集」を一冊だけ発表したのち
片田舎の島に隠棲してしまった数学家のグラント。
その復刊というオファーを携えて、
グラントのもとへ編集者のジュリアがやってくる。
内容を忘れてしまった上に手元に置いていないというグラントのため、
ジュリアが持ち込んだ内容を読んで聞かせ、
収録作について議論を交わす二人だが―――。
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殺人ミステリを成立させる条件を数学的に定義し、
その理論に基づいた7篇の作中作が収録されている本作。
名作へのリスペクトを込めたオマージュも多く、
ミステリ自体の完成度で言えば一作ごとのレベルはまちまち。
珠玉のミステリというよりは革新的な試みの作品という印象で、
殺人ミステリを数学的に解釈すること自体に対して面白いと思えるかどうかで
作品自体の評価が変わりそうな作品だな、という感じでした。
7篇の他に、大筋として「作家と編集者のストーリー」が一本通っており、
ここに対してどんな数学的アプローチが・・・?!
と胸を躍らせていたのですが、特になく(笑)
個人的には内容の面白さどうこうよりもここが残念でした。
短編については必要条件の組合せが増える後半の作品の方が
「ミステリを読んでいる!」という感覚で読めるので楽しかったです。
おそらくこの本の読み方を理解したから、というのもあると思います。
一つずつ見ても全体を通して見ても満足度はそこまで高くはないのですが、
期待値が膨らまないからか、がっかりもしなかった。
全体的にあっさりしていて、淡白で論理的な人とちょっと難解な会話した、みたいな感覚。
最後に、違和感の正体はそれね。となるものの、
違和感なのか自分の読解力不足なのか測りかねるくらいには文中の要素が細かい。
かといって細かい要素を読み返すには体力がいるし、
読めてるのかな~、読めてないのかな~、と思いながら読んでいました。
そこのもんやり感こそぜひ楽しんでもらいたい(笑)
数学的に定義されるとこちらとしても理解しやすく、
自分もこのアプローチを利用すれば殺人ミステリが書けるようになるのかしら?
なんてつい考えてしまうなど、それはそれとして面白い作品でした。
内容よりも枠組みについて考えるのが好きな方は一読の価値あり。でしょうか。









