いつぞや、オススメの本として紹介した「十角館の殺人」。

あれからちみちみと読み進めて、

先日、綾辻行人の「館シリーズ」を読破しました。

(その時点で発売している「奇面館の殺人」まで)

2023年から、第十作にあたる「双子館の殺人」を連載中らしいです。

本人曰く第十作までとのことなので、これがシリーズラストということでしょうかね。

主人公島田潔はいったい何歳になっているのか。

現代を生きているならば80歳くらいのはずなんですけどね。

まずは館シリーズの紹介から。

十角館の殺人（1987年）

水車館の殺人（1988年）

迷路館の殺人（1988年）

人形館の殺人（1989年）

時計館の殺人（1991年）◆上下巻

黒猫館の殺人（1992年）

暗黒館の殺人（2004年）◆全４巻

びっくり館の殺人（2006年）

奇面館の殺人（2012年）◆上下巻

双子館の殺人（2023年～）メフィストにて連載中

全四巻という「暗黒館」のボリュームに二の足を踏んでいたのですが、

どこぞの親切な方が「暗黒館」と「びっくり館」は毛色が違うので

後回しでも問題ないと言っていたのを参考に、その順番で読んでみました。

作品によっては怪奇小説味を帯びているものもあり、

その辺好みが分かれそうなポイントだなと思います。

個人的にはファンタジー要素の少ない作品の方が好きですね。

余談ですが、ちょっと昔の本の、その時代背景が感じられるところが好きです。

話し方、ファッション、為人、持ち物、などなど。

長く続くシリーズ物ならではの味わいだなと思います。

↓ざっくりとしたシリーズの概要は以下のとおり↓

寺の三男坊でのらりくらりと暮らす島田潔は、

「十角館の殺人」で事件に関わったことをきっかけに

異端の建築家 中村青司の遺した館に奇妙な縁を感じるようになる。

出向いた先々で、館の“からくり”を使った複雑怪奇な殺人事件に巻き込まれ、

好奇心なのか何なのか、島田は事件の真相を解き明かしていく。

主人公の島田は事件に対して受け身な印象で、

危機感が薄いし、事件に遭遇しても緊迫しないので、

自分がもし同じ館に閉じ込められたら早い段階で疑いそうな気がします笑

ただし、彼の言葉には妙な説得力があり、

関係者から見て一切の部外者であるという立場上、

利害関係や動機面でまず先に疑われることはないからか、

気が付けば探偵ポジションに納まっているという。

最後に、館シリーズ個人的ベスト3を挙げて終わろう。

特に順位はないので三つ並べるだけ。

・十角館の殺人

エンタメ的に一番ワクワクした作品。

登場人物の造形が他作品より細かい印象で、感情移入しつつ謎解きも楽しめました。

最後のオチは秀逸で、読後感がなんとも良いです。

普段あまり読書をしない人でも楽しめると思います。

・人形館の殺人

こんな風にも書く方なのねと意外性があった作品。

内容もさることながら、見せ方というのでしょうか、

他の作品とは違った空気感があり、

凝ったトリックはないけれども推理の厚みはしっかりあるので、

推理も物語も楽しみたい人にオススメしたい一冊です。

・奇面間の殺人

定番のように見えて、物語の展開は新鮮さもあり飽きることなく読めます。

絶妙な軽さの文章は本格ミステリにチャレンジしたいティーンにもオススメかも。

ここから始めて他シリーズ作品を読み進めていけば、

読み終わる頃にはミステリ知識が身についているやもしれません。

面白さとは別軸で、感心や驚きがあった作品を選んでみました。

トリックの面白さだと人形館が抜けて「時計館」が入ってくるかな。

推理好きにオススメなのは断然「十角館」と「時計館」でしょう。

前述しましたが、暗黒館とびっくり館は後回し、

気分が乗らなければ最悪読まなくてもいいかなぁと思います。

個人的には超長編スピンオフのような感覚で、

読まなくても“食いっぱぐれた感”はしないかも。

ここで躓いて奇面館を読まない方がもったいない気がします。

長編シリーズにしようと決めたのがいつのタイミングかわかりませんが、

初期作品の方が「らしさ」みたいなものは感じられます。

シリーズが進むごとに、前作とのつながりや流れみたいなものを

意識して書かれている感じがなんとなくするので、

個としての輪郭は初期作品の方が際立っていたかなという印象。

面白さは変わらないですけどね・・・！