先週のブログ「オススメの本 その42」では
『特捜部Q』のシリーズ一作目を紹介しました。
そして昨日、三作目の「Pからのメッセージ」も読み終わり、
『こんなにも周到に隠された犯行を、なぜ主人公は解決できるのだろうか』
ふと思いました。
前回のブログで言ったとおり、特捜部Qが扱うのは【未解決の重大事件】。
凡その場合、事件は何年も前に端を発しており、
重大事件にも関わらず犯人は今まで逃げ延びているわけです。
さぞや優秀な(というのが合っているのかはわかりませんが)犯人たちが
どうしてカールの目に留まった途端にほころびが生まれるのか。
三作目まで読んで思ったポイントは「慢心」と「執着」。
何度も繰り返してきた慣れや、今まで上手くやってきたという自信、
これらが生み出すちょっとした慢心をカールは見逃しません。
騙し通せると思って相手を甘く見た結果は言わずもがな。
特に直接の対峙ではカールの勘にはかないません。
そしてもう一点、「執着」。
今なら逃げられたのに!という場面でも犯人たちは自分の犯行に執着します。
成功体験を忘れられなかったり、復讐を果たすためだったり、
理由は様々ですが、執着は決定的な場面で仇となってしまいました。
慢心と執着。
何事も潮時で手を引くことは重要だなと思いますね。
サスペンスの犯人から学ぶことではないかもしれませんが笑
余談ですが、
あとがきや解説で自分が思ったことが描いてあると、なんだか「ふふん♪」ってなります。
虎の威を借る狐と言いますか、
自分が高尚な文章力を手に入れたような気分になるからかもしれません。
そんなこと、ありませんか?
最後に、読んでいて少し気になった点がもう一つあるのですが、
ちょっとネタバレになるので下げてあります。
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結局、三作とも犯人は死んでしまいます。
特に三作目では、拘束すればいいのでは?って場面で、
捕まえずに犯人は死んでしまうんですよね。
私の感覚では、死に逃げじゃないですけど、
公に裁かれずに死ぬのってズルいなって感じてしまうんですが、
なんでも舞台となっているデンマーク、
犯罪に対する刑罰が軽いみたいです。
本文中でも言及されていますが、
よその国で捕まるよりも刑の軽いデンマークで服役した方がまし、
なんだそう。
実際、何十人も殺した作中の犯人でさえ、
せいぜい15年の懲役で出てこられると言っていました。
北欧諸国は刑が軽いというか、
人道面から一定の権利が担保されている感じみたいです。
その国の風土もあるのでどっちがいいとも思いませんが、
日本人の感覚では「刑が軽いな」と感じてしまいます。
なので作中の認識では「捕まる<死」で罰せられた感覚が強まるのかなと。
読んでいてそんな印象を受けました。
時折出てくる日本の名前など、異文化の中に日本を感じられるのも海外小説の良い所。
ぜひ皆さんも、文化的な面にも注目して外国の小説を読んでみてください♪
新たな発見があるかもしれません。